つづいて、水道行政です。
耐震化について
※国の資料より
国は、1月の能登半島地震により、広範囲で断水や下水道管内の滞水があり、計画的に耐震化を進める必要を認識。全国の緊急点検を行いました。
対象は、上下水道システムの急所施設と避難所等の重要施設に接続する水道・下水道の管路。
急所施設:その施設が機能を失えばシステム全体が機能を失う最重要施設。
水道は、取水施設、導水管、浄水施設、送水管、配水池。
下水道は、下水処理場、下水処理場から下水処理場直前の合流地点までの下水道管路及びポンプ場
重要施設:災害拠点病院や避難所、警察、消防や本庁舎などの防災拠点等
特に重要施設は、災害時でも水の使用を可能とすることが重要で、水道・下水道の管路等耐震化を計画的・一体的に進めることが必要とされました。
<国への報告内容について>
Q.本市は重要施設2か所、耐震化率0%と報告しているが、この2か所はどこの施設?
A.日鋼記念病院と市立室蘭総合病院
Q.なぜこの2か所?避難所や重要給水施設は対象とならないのか?
A.上水道については水道施設耐震化計画にといて8か所を重要施設と位置づけ。下水道は地域防災計画の災害拠点施設24か所を重要施設としている。
そのため、現状におけるそれぞれの重要施設の位置づけを踏まえつつ、上下水道一体での災害対策を進める観点から、共通する2施設を報告した。
Q.重要施設の条件は?
A.地域防災計画等で定められている避難所や医療機関等、災害時に上下水道機能の確保が必要となる特に重要な施設とされており、上下水道事業者により設定。
急所施設の耐震化の状況
取水施設 | 施設能力(㎥/日) | 56,500 |
耐震化率(%) | 0% | |
導水管 | 対象管路延長(㎞) | 4.58 |
耐震化率(%) | 64% | |
浄水施設 | 施設能力(㎥/日) | 56,500 |
耐震化率(%) | 29 | |
送水管 | 対象管路延長(㎞) | 73.84 |
耐震化率(%) | 71% | |
配水池 | 有効容量(㎥) | 33,140 |
耐震化率(%) | 40% | |
下水処理場 | 施設数 | 1 |
耐震化率 | 100% |
Q.管路と比較して施設の耐震化率が低い理由は?
A.取水施設、浄水施設、配水池は該当する施設数が少なく個々の施設規模が比較的大きく耐用年数も長い。管路は、重要施設に接続する区間や老朽化が進んでいる区間について、選択的、継続的に整備を進めていくことが可能なので、年々着実に耐震化率が高まる。
Q.千歳浄水場は耐震化されていない。被害を受けた場合の被害想定は?
A.千歳浄水場は蘭西地区および蘭東地区が供給エリアとなっており、蘭東地区については、チマイベツ浄水場との連絡管がないため、現時点においては緊急時のバックアップができない状況。
そのため、被災の時間帯や時期、被災状況にもよるが、仮に千歳浄水場が完全にシャットダウンした場合を想定すると、半日から1日足らずで、本市の給水人口が最も集中している蘭東地区において、断水せざるを得なくなる状況が想定される。
Q.重要施設の給水装置の耐震化の状況は?
A.配水管から分岐し、水道メーター手前までの給水装置については、水道施設耐震化計画において重要施設に位置づけている8か所のうち、7か所において耐震性を有する資材を使用。
Q.残りの1か所の施設と今後の対応は?
A.蘭西育の避難所。配水管を耐震化した効果を早期に発現できるよう、給水管の耐震化について、施設の管理者と協議を進める。
Q.下水道管路の耐震化への考え方と現在の耐震化率は?
A.被災した場合復旧が難しい場所や時間がかかる場所、交通に影響があるところ、排水量が多い重要汚水管渠等の耐震化を優先に、老朽化対策と併せて検討する必要があると関あげている。重要な施設の配水を受ける重要な幹線等の耐震化率は約14%。
Q.国が令和7年1月末までに策定を求めている「上下水道耐震化計画」の策定状況は?
A.上下水道管路の一体的な耐震化を計画的・集中的に推進することが目的であり、現在、上水道部局と下水道部局で総合に調整を図りながら、計画に位置づける急所施設及び重要施設に接続する管路の洗い出し作業を進めている。
現時点で施設数や耐震化率等の数値は確定していないが、管路の耐震化状況は上水道と比べ下水道の耐震化が遅れている状況にあり上下水道がいずれも耐震化されている重要施設は少数。
Q.下水道の耐震化の数値目標は?
A.耐震化計画の中で、重要施設に接続する下水道管路の耐震化の目標延長を定め、数値目標を策定する。
<漏水について>
Q.耐震化は進んでいる一方有効率が年々低下(=漏水が多い)理由は?
A.管路の更新を上回る速さで老朽化が進んでいることや、音調棒による漏水調査では発見が難しい漏水が潜伏していることが原因。
Q.宅地内及び行動内における漏水状況と対応件数は?
A.
令和5年度の漏水量 | 内訳 | 漏水量 |
2,045,249t | 給水管漏水 | 99,823t |
配水管漏水 | 16,104t | |
場所が未特定漏水 | 1,929,322t |
漏水対応件数は、個人で修理した給水管が9件、水道部で修理した敷地内の給水装置が233件、行動内の給水管修理が103件、配水管修理が21件。
Q.場所が未特定なものが多い。人工衛星とAIを活用した漏水調査を導入すべきでは?
A.更なる技術の進展を見極める必要があると考えているが、漏水対策は本市の重要課題であり、従来の調査方法と比較して広範囲を短時間で調査できることや、音聴調査では発見が難しい潜伏漏水を発見できる可能性があるので、本市においても、試行導入について検討中。
<高砂ベンゼン問題>
Q.漏洩時期や漏洩量については、事業者、市双方で科学的調査を行っているが、水質汚染事故への認識は?
A.いずれの検証も、ある一定の条件を家庭したうえで推定した結果で、それぞれ有識者の助言もいただいているが、地下で発生した汚染のメカニズムを高い確度で再現することは難しい。
そのため、関係住民の皆様が最も危惧されている健康影響について、少しでも不安を和らげていただけるよう、今後、本市および事業者の費用負担により、年1回の人間ドックの期限を設けず、受診していただくことで合意に至った。
Q.責任割合について、水質汚染事故の発生責任は事業者が100%、事故による住民への補償が市と事業者という認識でよいのか?
A.現在協議中のため、本市の考え方としては、水質汚染事故の発生責任については、油漏れを起こした事業者が負うべきものと考えている。
健康被害についても、原因者である事業者に大きな責任があると考えているが、本市としても、初動対応が不適切さったために住民の方々の健康リスクや不安を増大させてしまった経緯があることから、健康被害に関しては、本市としてもその責任の一部を担っていく考え。
Q.再発防止のため、事故を総括し、将来の職員にもしっかり引き継ぐべき。
A.初動対応の遅れにより、関係住民の皆様に健康面での大きな不安を与えたことや、水道事業への信頼を損ねる事態を招いた反省を踏まえ、一連の事故の経緯を振り返り、対応の問題点などを整理し、再発防止に努めていくことが重要と考えている。
水質汚染事故発生時の迅速な初動対応と現地確認については、職員の共通認識として徹底を図る為、部内教育の一環として既に取り組みを始めており、今回の事故の教訓が将来に渡って引き継がれるよう、引き続き、継続的な職員研修に取り組む。