今日は奈井江町に視察へ。
奈井江町は北海道で初めて子どもの権利条例を制定した町です。
平成14年4月1日に施行されてから1度も改正していないとのことで、
それだけ本質的な内容であるということだと思います。
そして、条例をつくって終わりではなく、条例が活きていました。
具体的には小学校5年生から高校3年生まで毎年「町長と語る会」が実施されていたり、役場建設や各種計画の策定にも子どもの意見が聞かれ、取り入れられていました。
そういう積み重ねが「奈井江町が好き」という気持ちを育てている。
つまり、まちとの主体的な関わりが、まちへの愛着心につながっているということでした。
令和5年度からはコミュニティスクールがスタートし、地域コーディネーターの方が子どもたちの活動をアシスト。
子どもたちの声が、授業内容や地域に反映される仕組みとなっているようです。
町長と語る会は、今ではまちの課題について話されることも多いようで、
クリーン作戦というゴミ拾いの活動にも展開するなど、意見だけではなくまちづくり自体にも参画しているとのことでした。
様々なお話を伺い、奈井江町が掲げる「子どもはまちづくりのパートナー」という意味が来る前に比べて理解が進みました。
まちづくりに関わるのは大人も子どもの関係なく、「まちをよくしたい」と思う気持ちがある人であれば、どんな人の意見も等しく聞かれ、議論され、具体的な一歩につなげていくことができるはずです。
自分の意見が聞かれることで、たとえすべてが実現しなくても、自分がまちの一員であることを承認されたと感じると思います。
そういう繋がりが大切ではないでしょうか。
自分の思いや意見を受け取ってもらえる・聞いてくれる人がいる。
そして、自分も聞ける人になる。
そういう社会はとても温かいだろうな、、、と。
その基礎になるのが子どもの権利条例だと感じました。
<備忘録>
・どこの条例も「生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利」が含まれている。
・合併子ども投票の前に2年間にわたり事前学習・意見交換を行った。子どもが家庭で合併の話をすること等、親や大人の刺激になり、町民総論議のきっかけとなった。結果、子どもたちの誇りと未来に大きな成果があった。
・子ども会議は児童会・生徒会が母体。令和4年度までは教師の意向子どもの自発性よりも強く作用していたため、令和5年度からは教師とは切り離し、子ども部会としてコミュニティスクールのコーディネーターがファシリテーションとして関わっている。開催回数や開催内容についても子ども達が考えている。先日は老朽化した公園の現地調査も行い、担当課とも意見交換した。
子ども部会が中心となって、ゆくゆくは条例改正をしたいという思いもあるそうだ。
・条例が制定された成果として、子どもがまちの一員として意見を言うことが自然となった。
・救済委員会は今のところ開催なし。虐待等緊急的な場合は、学校から教育委員会へ連絡し、そこから保健センターや児相等にすぐにつないで対処。
・北前町長から、理念や目指すものを町民と議論してまちづくりをする大切さを教育長は叩き込まれたとのこと。コミュニティスクールについても1年半町民と議論。なので、スタートが近隣自治体よりも遅れた。
・町長と語る会は、その場で町長が感想を述べ、各課に伝え、結果を子どもたちにフィードバックしている。
・まちのキャッチフレーズ「ずどーん」も子どもの発案。
https://www.town.naie.hokkaido.jp/town/kyattifurezu/kyattifurezu-mitinori/
庁舎内でポスターを見たときは目を引いた。
(感想)
子どもたちにとって何が最善か、長年にわたって考え取り組まれてきた。
大人になってもこのまちに住んでもらいたい、戻ってきてほしい、という思いはどこの自治体でもあると思う。まちづくりに関わるという経験は、今だけではなく未来を考えることにもつながり、愛着心だけではなく視野を広げる体験になる。そして、「聞いてもらえる」という体験はすごく大切で、子どもの頃からまちづくりに関わることで当事者性も育っていくと思う。
まちづくりの主役は市民。
※奈井江町HPから借用